50歳から黄色信号!帯状疱疹が迫ってくる
一般に帯状疱疹という病名は知られていると思いますが、詳しい知識を持っておられるでしょうか?原因は何かご存じでしょうか?今回ブログを書くまで、私も実はあまり知識がなかったのです。幼い頃、水ボウソウにかかった方はいらっしゃるかと思いますが、実は幼い頃のこの水ボウソウのウイルスを体内にずっと持ち続けて、大人になってこのウイルスが、再び活動をはじめると帯状疱疹になるのです。幼い時に水ボウソウに罹患していないなら、この帯状疱疹に罹患することはありません。この疾患は人の免疫性が低くなった時、加齢にともない顔をあらわします。そして50歳頃から80歳の間に3人に1人の割合で出没します。この疾患に罹った人は、ほんとうに辛い経験をします。帯状疱疹は、文字通り「帯(おび)状の水疱や発疹が出る」病気です。 発疹が出る前は、身体の左右どちらか一方にチクチク、ピリピリといった刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点(はんてん)と小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)にあらわれる病気です。
この帯状疱疹は抗ヘルペスウイルス薬を内服するなどで治療を行い、以前はワクチンで予防するということはなかったのです。しかし、免疫が切れる頃に、免疫性が低下していると、またウイルスが出現し帯状疱疹という悪さを始めることになります。
私の中学からの親友もこの帯状疱疹にずっと悩まされて続けていますし、畑の知人も働き盛りの時、この帯状疱疹で入院した経験を持っておられ、今なお、免疫が低くなると、目にその帯状疱疹が出るということで、一度治まったとしても、また繰り返し症状があらわれる厄介な疾患です。「水ボウソウにかかった」と自覚している人以外も、ごく軽度や無症状で感染した場合は気づかないことがあるため、日本人では、成人のおよそ9割で帯状疱疹の原因となるウイルスを持っていると考えられています。しかしその半数はウイルスが悪さをしないで、帯状疱疹に罹患しないで生涯を過ごすことができます。
ある日、親友から帯状疱疹のワクチンの予約をしようかどうか迷っているということを聞いたのです。その時、帯状疱疹のワクチンがあるということを初めて知りました。長年、帯状疱疹は発症してから治療していましたが、子供が接種する水痘(水ボウソウ)ワクチンに、帯状疱疹の発症予防効果があるとして、2016年3月に厚生労働省は水痘ワクチンを帯状疱疹予防の目的で50歳以上の成人に接種することを勧めることにしました。その後2020年になり、帯状疱疹専用の不活化ワクチンが日本でも承認され、接種できるようになりました。しかし、このワクチンのことを、帯状疱疹に罹患した人でも知らない人もいて、まして帯状疱疹に罹患の経験のない人の多くは知らないのだと思われます。確かに、羅患し自分自身が辛い経験をしないと、そういった知識を知るきっかけがないと思います。いまだ帯状疱疹があらわれることのある畑の知人はワクチンがあることを知らないということでした。
今回、このブログでこのワクチンのことを書いてみようと思ったのは、帯状疱疹と闘っておられる方のため、50歳から帯状疱疹の予防のため、ワクチンがあるということを知っていただき、そのワクチンとはどのようなものなのか知っていただければと考えたからです。帯状疱疹のワクチンは50歳以上が対象になります。帯状疱疹の罹患率が、50歳以上で高くなることがその根拠のようです。また、任意接種です。つまり、保険は効きませんし自治体の助成もありません。ただし名古屋市のように助成があるところもあります。名古屋市は以前ブログで取り上げた子宮頸がんワクチン接種だけに前向きなわけではなく、他のワクチンに対しての姿勢も、とても前向きな自治体のように思います。
ワクチンを接種すると、上記の帯状疱疹の発症予防、また、帯状疱疹後神経痛を予防できます。このワクチンは水痘ワクチンとシングリックスの2種類あり、それぞれの特徴があります。
水痘ワクチンはいわゆる「水ボウソウのワクチン」です。子供に投与されるワクチンと同じものです。以前から帯状疱疹の予防としても使用されてきました。
シングリックスは、2020年1月に認可された全く新しいワクチンです。帯状疱疹の予防のみに使用されます。極めて予防効果が高いワクチンですが、治療費がとても高いのです。それでは下記の通り2種類のワクチンの違いを見ていきましょう。
上記に出てきた、生ワクチンと不活性化ワクチンの説明を少し付け加えておきます。
生ワクチンは、生きているウイルスや細菌の毒性や発病力を極度に弱めた(弱毒化した)ウイルスや細菌をワクチンとしたものです。
不活化ワクチンは、大量に培養されたウイルスや細菌からウイルス粒子や細菌の菌体を集めて精製した後、加熱やホルマリン等の薬剤を用いて処理をし、感染力や毒力をなくした病原体やその成分で作ったワクチンです。生ワクチンのように体内で増殖することがないので、1回接種しただけでは必要な免疫を獲得・維持できないため、数回の接種が必要です。ジフテリア・百日せき・破傷風・日本脳炎・ヒブワクチン・子宮頸がん・ポリオ(※)等です。
さてこの2つのワクチンは上記の通り違いがありますが、長所と短所という観点から比べてみましょう。
現在(令和3年4月時点)、国民のほとんどがコロナウイルスのワクチン接種を待っている状況です。
水痘ワクチンを接種すると1ヶ月間はコロナウイルスへのワクチンを接種できなくなるので、現時点で帯状疱疹のワクチンを接種するのであれば、接種までの期間が短いシングリックスの方がよいかと思います。こんなところにもコロナ過の影響があるということです。
自分自身がワクチンを接種する対象であるかどうか、いいかえれば、水ボウソウに以前罹患したかどうか、ウイルスを持っているか否か、不明な場合があります。私もどちらなのかわかりません。その場合は血液検査(抗体検査)を受ければわかりますが、ウイルスを体内に持っていても、生涯で発症するのは半数ぐらいなので、予防するためにワクチンを接種するまでにはなかなかいかないように思います。私も接種することも考えたのですが、シングリックスでも効果が9年くらいなので、今の自分の体調のリスクから考えても、今すぐ接種する必要はないように思っています。個人がそれぞれ自分の体調のリスク状況を考えて、必要と思えば専門医にワクチン接種についてご相談されるのがいいかと思います。
帯状疱疹を発症させないため、加齢は致しかたないことですが、過労、ストレス、病気で抵抗力が落ち、免疫機能が落ちないように、日頃より心身の健康に心掛けて過ごすことが一番大切です。なにもこの病気に限ったことではありません。
帯状疱疹は50歳から80歳の人が罹患する確率は高いですが、2014年の水痘ワクチン定期接種化に端を発する帯状疱疹の増加が、顕在化しています。中でも、20歳代から40歳代の若年層で発症率が顕著に上昇していることが最新の疫学調査で明らかになったことを付け加えておきます。
今回のこのブログにて、帯状疱疹にはワクチンがあるということを頭の片隅に覚えていただければ幸いです。
それでは、また「anmasakoわたしの部屋」でお会いしましょう。